ノートパソコンの弱点の一つに、買ってから2年も経つとファンの音がうるさくなったあげく、ファンが回らなくなるというのがある。
あげくにメーカーによってはファンの交換に数万円もかかるのだから始末に負えない。
筆者が使っているのはSOTECのWL2120という機種なのだが、99800円で購入したモノにたかがファンの交換に数万円もかかるのは、正直納得行かない。
ファンだけなら数百円から高くても千円ちょっとで済むはずなのにファンの取り寄せにも応じてくれないのが日本のメーカーだ。
なんて愚痴っててもしょうがないので調べてみたのだが、海外でノートパソコンのファンあるいはファン+ヒートシンクを通販しているサイトを2、3社見つけることが出来た。
WL2120でも70ドルでファン+ヒートシンクを購入できるのだが、残念なことに海外への販売はしてないとのこと。当地在住の知り合いでもいれば頼めるのだがそんな知人も友人もいない。
そのうち日本からの通販に対応してくれることを期待しつつ、しばらくの間モリブデングリースをベアリングの隙間から少量押し込んでだましだまし使っていた。
Holtsのスプレー式の液体グリースは金属のパーツには良いのだが、合成樹脂の一部を溶かす性質があるので、ファンには怖くて使えないし、いいものがないかとホームセンターに行く度に見ていたのだが、先日、スプレー式のリチウムグリースを見つけた。
リチウムグリースは車関係では良く使われているグリースなのだが、通常は注入ガン用のチューブ式で1度開封すると全量使いきらないといけないようなので、モリブデングリースより良いのは判っていたのだが、手が出せないでいた。
そこにスプレー式で小さな缶で198円である。試さない手はない。
さて、WL2120のファンのベアリングへのグリースアップだが、WL2120は裏のメモリスロットの蓋をネジ2本で外すと、はめ込み式のヒートシンクの蓋が簡単に外せるようになっていて、この蓋を外すとファンに触れるようになる。
大抵のファンではベアリングへのアクセスはファンのモータ側から行い、ノートパソコンの場合、モータはヒートシンクの裏側についているので、ヒートシンクを外さなければならないと思ったのだが、ヒートシンクを外しモータ側に貼られているシールを外してもベアリングが見えない。
流体軸受けでアクセス不能??と思い焦ったが、通常貼られていないファン側のシールを外すと3つ小さな穴が開いており、そこから覗くとベアリングが見えた。
なるほど蓋を開けてシール剥がすだけで、ヒートシンクを外す必要は無かったのか。
とまぁ、ベアリングの所在がわかれば、あとは小さな穴にクリーム状のグリースを押し込むか、液状のグリースを流し込むかするだけである。
今回見つけたリチウムグリースの場合はスプレーなので、スプレーノズルに細い管を付けて、ファンの小さな穴から注油するようにスプレーしてみた。
はみ出た余分なグリースはティッシュなどできちんと拭いておいた。
結果は、、激しく良好である。
クリーム状のモリブデングリースを押し込んでいたときは、ようやく回るようになった程度だったのだが、スプレー式のリチウムグリースでは購入当時なみに良く回るようになった。
しかもベアリングが壊れたのではないかと思うほどのガラガラやカラカラという回転ノイズが全く無くなったのである。
以前は気になった高速に回転するファンの風切音が逆に安心感を誘うのだから判らないものである。
問題が残っているとすればはみ出したグリースによってファンのファン側から剥がしたシールが2度と貼り付けられなくなったことくらいか。
シールが無くなったことで注入したグリースが流れ出してくる可能性はあるが、そうなっても流れ出す方向は下向きで、ファンから見たら上側にある基板や部品にどうということも無いだろうし、貼りなおせたとしても位置が悪ければファンのアライメントが狂うだけなので、無理に貼りなおさなくてもいいのかも知れないのだが。
ともあれ、売りっぱなしの国内メーカーに無駄な金を払わずに当面の処置が見つかったことは幸いである。
ただし、この記事をみて同じことをして最悪PCが破損あるいは破損に準じる事態になったとしても当方は一切関知しないので悪しからず。